3気筒エンジンの魅力とは?
トライアンフの3気筒エンジンは、低速域では柔らかくドコドコとした粒感のある鼓動感が特徴といえる。エンジンは回転数が高まるほど清らかに回る。特筆すべきはアクセルオフ時のエンジンブレーキだろう。
GPライダーのバレンティーノ・ロッシの言葉を借りるならば『スィート』
アクセルを開けても閉じても、とにかく滑らかさがおいしい不思議なエンジン。
初めて乗ったタイガー955iの右手から伝わってきたあの感動は、今でも忘れることができない。
トルク特性の面からみると、3気筒エンジンの特徴は正比例。
右手でスロットルを開ける角度、エンジンの回転数の上昇スピード、まわりの景色の流れ方、すべてが正比例。スロットルを戻すときも同じ線をなぞるように正比例。
だから、ライダーが意のままにコントロールしやすい。
これは交通状況や天候にも相性がいいと言えるだろう。
日本の道路事情(高速道から一般道、渋滞の多い市街地から山間部のワインディングまで)、春夏秋冬の四季のある季節、海抜0mから標高2000m級の標高差にもマッチしている。
「西岸海洋性気候」の英国も日本と同じように四季があり一年中の雨量は多め。
海に囲まれた島国で国土面積は約24.3万平方km(日本の約3分の2)
英国生まれのトライアンフ車が日本市場でも人気があるのも頷ける。
さて、ツーリングでありがちなのが交通渋滞。
誰もが渋滞に出くわすのは嫌なことだろうが、トリプルエンジンはちょっと違う。
1速または2速でクラッチを繋ぐと、あら不思議。
1500rpm近辺でドコドコと粒感を出しながら、エンスト知らずで渋滞に追従していく。左手はフリーになるのでクラッチレバーを握る握力からは解放される。
そして粒のあるパルス感が心地よさを演出。この極低速域でしか味わえないパルス感を渋滞のなかで楽しむことができる。
日本はストップ&ゴーが多く、車の流れも遅め。公道で求められるのは、最高出力ではなく低中速域トルクの豊かさだといえる。
天候の面でいえば、晴天から雨天まで全天候型のオールマイティさを発揮。灼熱の夏から凍える冬まで、四季の路面状況に順応してると言えるだろう。
まろやかゆえにスライドしにくく、スライドし始めてもコントロールを失いにくい。120度の等間隔クランクのおかげで、エンジンブレーキのかかり方は極めてスムーズ。グリップの良いエンジンなので、ウェット路面や路温が低い状況下でもライダーの操作に忠実となる。
そしてエンジンとエキゾーストの奏でる音色がなんとも堪らない。
音量と音質が摩訶不思議なエンジンサウンド。
3000rpm付近の低回転域ではヒュルヒュルと、10000rpm以上の高回転域ではクォォーンンと咆哮を轟かせる。回転数によってその音色を可変させる様は管楽器を思わせる。
エンジンの回転の座り(落ち着き)が良く、せかしてこないところもちょうどイイ。
法定速度でのんびりと流しても飽きることがない。
3気筒特有の自由自在な走りは、誰でもドコでも味わうことができるだろう。